Daring Mystery Comics #2 (1939) まさかの連載 総入れ替え。
発売日:1939/12/15
- ZEPHYR JONES
- The PHANTOM BULLET
- TROJAK THE TIGER MAN
- Six-Gun DYNAMITE
- K-4 And his Sky DEVILS
- Mr.E
- THE LAUGHING MASK
- 総評
ZEPHYR JONES
偉大な科学者であったモリソン・ジョーンズ博士の息子 ゼファー・ジョーンズは、
父親の研究を引き継ぎ、火星への宇宙船を開発した。
多くの市民に見守られながら、彼は友人のグローガンと共に宇宙船に乗り込み、
火星へと出発した。しかし、宇宙船は謎の力に引き寄せられ、地球に似た未知の惑星へ吸い寄せられてしまった。
着陸したゼファーたちは、程なくして”バードマン”という種族の原住民と遭遇する。
彼らは地球とは異なる技術体系の文明を築いていた。
ゼファー達はお互いの技術を交換しながら友好的に過ごし、トンカ王女との仲を深めていた。
しかし、その裏では敵対種族”パロットマン”のスパイであるルード将軍がクーデターの準備を進めていた。
そして、時が訪れた。
ルード将軍は架空の罪でゼファーたちを告発、投獄させた。
同時に、パロットマンの軍勢がバードマンの城を襲った。
鉄格子ごしに事態を見ていたゼファーは、
様子をうかがいに来たトンカ王女に、宇宙船に残したバイオリンケースを持ってくるように頼む。王女は意図を図りかねつつもケースをゼファーに手渡すと、
中には拳銃やトミーガンなどの重火器が入っていた。
錠前を破壊して牢を脱出したゼファー達は、パロットマンの大軍を銃で撃退する。
城から飛び立とうとしていたルード将軍に果敢にとびかかり、身柄を拘束したゼファーは自身の冤罪を晴らすことができた。
一難が去り、次なる侵攻に備えてゼファー達は機関銃の技術をバードマンへ提供した。
そして宇宙船を修理したゼファー達は、本来の目的である火星到達のため、
王女に別れを告げて惑星スネヴを後にするのだった。-----------------
ヒューマントーチで火星人が出てきたかと思えば、
こんどは火星への宇宙飛行の物語です。
現実には有人宇宙飛行は1961年が初で、
この本が販売された1939年はまだ宇宙に物を飛ばすことすら出来ていません。
つまり、この時代の宇宙空間は基本的にSFの中だけの存在だったわけです。
ということで、バードマン(鳥人)だのパロットマン(鳩人)だのが出てくるわけですが、
現代的な宇宙観があるせいで、逆に予測不可能かつ奇想天外な展開が面白く感じました。
一方で、兵器を含む科学技術を気軽に供与するなど、
今後のことを考えると不安も過るような、ある種牧歌的な展開が多いなぁと感じます。
(前回のヒューマントーチも似たような展開でしたね)
まだ核兵器もミサイルも存在しなかった時代、
現代の我々とは根本的なところで考え方が違っているんだろうな、としみじみ思います。
(良くも悪くも、ではありますが)
The PHANTOM BULLET
新聞記者 アラン・ルイス は、優秀な記者として知られていたが、
一方でその勤務態度は怠惰そのものだった。
会社からの依頼を受け、ある殺人事件の現場へ向かったアランは、
現場に残された指紋が"7本指"だったと知り、事件に興味を持つ。犯人が後々現場に戻ってくると感じたアランは、
会社への報告もそこそこに事件現場で張り込みを独断で始める。
深夜、天井で待ち構えていたアランの前に人影が現れた。
アランは捕まえようとするが、人影は一人ではなく、
次々と現れる"羽毛の生えた男"達の前に暴行され、気絶してしまった。
翌日、アランは会社への報告を怠った罰として、新型の銃を開発した博士への取材を指示される。
この博士は氷の弾丸を発射する銃を開発したが、その設計図を犯罪者たちに狙われていると語った。
弾丸が自動的に溶けてしまうこの銃は、証拠を残さずに犯罪を犯すにはうってつけだったのだ。
悪党の手に銃が渡ることを嫌った博士は、試作品の銃と設計図をルイスに託した。
会社に戻ったアランは、博士が7本指の男に殺されたとのニュースを受け取る。
一連の犯罪を止めるために博士の発明を使うことを決めたアランは、
顔を隠し、マントに身を包んで独り行動を開始する。
アランは次のターゲットのもとへ先行して襲撃者を撃退し、
彼らの計画を挫きながら、黒幕の正体がアルバレス・モネスという男だと突き止めた。彼はアフリカ探検時に発見した鳥人間を奴隷として使役し、犯罪に利用していたのだった。
モネスのアジトに乗り込んだアランは、氷の銃を使って鳥人間とモネスを倒し、
事件を収拾させた。一夜明け、会社に戻ったルイスは、この事件を解決させた謎の男"ファントム・バレット"の調査を指示されるのだった。---------------------
証拠が残らない銃があるなら、正義を執行してもバレないやん!という発想でヒーローになったファントムバレットさん。
割と危険人物寄りな気がしますが、能力自体はかなり使いしろがありそうです。
今後の展開に期待。
TROJAK THE TIGER MAN
ジャングルの部族に育てられた白人にしてジャングルの王、トロジャックは成人になった。
酋長はトロジャックに、今こそ部族を離れ、外の世界へ旅に出る時が来たのだと告げる。
トロジャックは相棒の虎、バルーとともに荒野へ旅立った。
旅の途中、先住民を迫害する白人のハンターを見つけたトロジャックは、
ハンターに飛び掛かりその怪力で銃を捻じ曲げ、使い物にならなくした。ジャングルの王、トロジャックの存在は先住民に知れ渡っており、
先住民たちはハンターに従うことを辞め、恐れをなして逃げ去ってしまった。
残されたハンターの一団は道に迷い、ついには無害な動物さえも撃ち始めてしまう。
一団の一人であるイーディスという女性は、リーダーの方針に従えず独り一団から離れ、ジャングルからの脱出を目指した。
ほどなくして彼女はライオンに襲われるが、一団の様子を観察していたトロジャックがライオンを止めに入った。
トロジャックは深い傷を負いながらも、
最後にはライオンの背後を取り、首を締めあげてライオンを倒した。
トロジャックはイーディスを安全な木の上へ運んだところで、
傷によって意識を失ってしまう。しかし、イーディスの看護とバルーやほかの動物たちが運ぶ食物により、数日のうちにトロジャックは回復し、またイーディスから簡単な英語も教わることができた。
憔悴したハンターの一団と再会したトロジャックは、彼らを近くの先住民の村へ案内した。
イーディスとも離れ、再び孤独の身となったトロジャックだが、
案内した先住民の村に異変を感じ、村へ駆けつける。そこでは、一団が柱にくくりつけられ、今にも火炙りされそうになっていた。
トロジャックは先住民に立ち向かい、バルーは象やライオンを呼び寄せ村を壊滅させた。
ついに港まで着き、一団はボートに乗って帰途に就くことができた。
しかし、イーディスは再びトロジャックに合う予感を感じていたのだった。---------------
前回のマスクドレイダーっぽいキャラに続き、今回はKAZARっぽいキャラクターの登場です。
(そもそもKAZAR自体ターザンっぽいキャラなわけですが)
しかし、KAZARが基本的に人間と敵対しているのに対し、
今回のトロジャックは人間に育てられ、ハンターも最後には助けるなど、人間との関わりが主軸に描かれており、差別化されています。
まぁ、相棒が虎という「そこいくらでも変えれただろ」という部分が被ってしまっているのですが。
Six-Gun DYNAMITE
貧乏な夫婦は、自分の所有する山から鉱物を発掘しようとしていたが、その試みは幾度も失敗し続けていた。
夫は町へ発破用のダイナマイトを買いに行くが、
妻からこれが最後のチャンスで、上手くいかなければ家を出ていく、と告げられる。
憂鬱な気持ちでダイナマイトを買った夫は、2人組の銀行強盗に懸賞金がかけられたという報せを聞き、"自分がもう少し若ければ"と独り言ちる。
夫はそのまま家へ帰るが、道中見慣れぬ2人組の足跡を見つけた。
町で聞いた銀行強盗のニュースを連想し、嫌な予感をした夫は家へ急ぐ。
嫌な予感は的中し、そこには強盗の2人組がいた。
銃を突きつけ脅してきた強盗に対し、夫は賭けに出る。
箱の中のダイナマイトを取り出し、逆に銀行強盗に銃を下ろすよう迫ったのだ。
膠着の末、強盗側の音が折れ、夫婦は銀行強盗を拘束することができた。
ダイナマイトは鉱山は見つけられなかったが、懸賞金により夫婦の仲は引き裂かれずに済んだのだった。-------------
今回の小説コーナーです。
おそらく時代設定は西部劇的な世界観でしょうか。
現代の我々からするとおとぎ話と大差ないような感覚になりますが、
1930年代当時の人からすると、一昔前、程度の感覚なのかもしれないですね。
K-4 And his Sky DEVILS
ロンドン上空でイギリス空軍とドイツの戦闘機が戦っている中、
突如アメリカ人パイロット K-4 が率いる3機の戦闘機が現れ、ドイツ軍を撃退した。
英軍基地に着陸したK-4は、大佐から指令を伝えられる。
それは英軍が捕らえたゲシュタポのエージェント ギュンター・ヘッセマンになりすまし、
対空防備の厳重な独軍基地に潜入するという任務だった。
夜闇に紛れてドイツ領内へ降下したK-4は、ゲシュタポの身分証を利用して基地の奥深くへ潜り込む。
敵の弾薬庫を発見したK-4は、火薬を爆発させるため時限装置を設置するが、時を同じくしてスパイであることが敵に知られてしまった。
ドイツ軍に追いつめられるK-4だが、弾薬庫から持ち出した武器で包囲を切り抜ける。
部下が操る英軍の航空機に乗ったK-4は、大爆発を起こす基地を尻目に、イギリスへ帰還するのだった。---------------
戦争物のお話で、主人公K-4率いる3機のパイロットが主役となります。
全員に名前や経歴が設定されていて、気合が入っているのを感じますが、
後半はほぼK-4の単独作戦となっており、正直ちょっと陳腐かなという印象。
もし連載として続くのであれば、面白くなりそうなので期待します。
(できれば、もうちょっと空戦メインでお願いしたいところです。)
Mr.E
裕福な人物を狙う殺人が頻発している中、ビクター・ジェイ --またの名をミスターE -- は、彼ら全員が石油会社の関連者であるという共通点に気づき、捜査を開始した。
次のターゲットが社長のJ.P・スニードだと考えたミスターEは、社長の自宅へ向かう。
窓から様子を伺ったミスターEは、社長が怪しげなメモを暖炉へくべるのを目撃する。
手がかりが失われるのを恐れたミスターEは部屋へ飛び込み、燃えかけのメモを回収して屋敷から離れた。
車を走らせながらメモを確認すると、そこには社長を脅迫する内容が書かれていた。
そのまま拠点へ戻ろうとするミスターEだったが、宿敵ヴァンパイアの乗る車に追突され、崖下へ転落してしまう。
何とか生還したミスターEは、ヴァンパイアの拠点へ向かう。
そこには、スニード社長と誘拐された娘がいた。
社長が身代金をまさに支払おうとした所に、ミスターEが乱入する。
社長たちは逃げ出し、警察が駆けつけたことでヴァンパイアも撤退。
ヴァンパイアの計画は一時的に潰えたのだった。------------
みなさんご存じ、という感じでミスターEもヴァンパイアも特に説明なく出てくるのですが、お互いこれといった特殊能力はありません。
これはさすがに単発かな・・・と思いますが、どうでしょうか。
THE LAUGHING MASK
地方検事代理のデニス・バートンは、列車の走行中に車輪がバラバラになるという未解決事件の調査を始めた。
地元の鉄道操車場に行くと、工員が酸で車輪を弱めているのを発見する。
工員を追跡したデニスは、事件の黒幕たちの会合を目撃するが、1人に見つかってしまい、椅子に縛り付けられた。
ギャングはそのまま隠れ家を放棄したが、デニスは自分を縛る縄を簡単に引きちぎり、スーツを脱ぎ捨てた。
彼は ラフィングマスク へと変貌した。
黒幕たちの前に現れたラフィングマスクは、悪党たちを2丁拳銃で全員射殺した。
そして、車輪が弱まった列車を止めるため操車場へ戻ると、工員を次々に打倒し、残った一人を告発状と共に警察へ引き渡したのだった。---------------
・・・えーと、このラフィングマスクさんも特に出自の説明はありません。
まぁほかのヒーローと比べて残虐性は数段上ですが。
現代にも犯罪者に対して容赦しないヒーロー、というのはけっこういますが、
このラフィングマスクは残虐性へのツッコミが一切ないあたり、ナチュラルボーンの狂気がにじみ出ていて怖いです。
総評
というわけで、前回の作品はすべて打ち切りとなりました。
(今後、復活するかもですが)
総入れ替えとなった今回は、かなりSFに振ったゼファージョーンズや、主人公以外にもキャラ付けをしっかりしているK-4など、気合が入った作品が幾つかあって個人的には面白かったです。
一方で、ファントムバレット、MrE、ラフィングマスクはあまりに同系統過ぎて、なぜ載せたし・・・って感じです。
どれか1作品だけ生き残るとしたら、ビジュアルが強いラフィングマスクがいいかな。